濃く輝きを放つ深い紫色、黒い果実（黒スグリ、ブラックベリージャム）のような濃い香り。
焼いたクローヴやクミンのようなスパイス香や黒リコリス、バーボンバニラのような樽焼の香りも。
深い味わいと余韻ある滑らかなタンニンが特徴的。
オーク樽と濃い果実から生まれるタンニンのバランスが優れています。
初めてプティ・ヴェルドーをブレンドした2014年ヴィンテージは
適度なパワーがあり、時間をかけて楽しみたい１本となりました。

■クーヴァン・デ・ジャコバンの履歴
【2008年】生産数2600カートン　セパージュ：メルロー85％、カベルネ・フラン15％
【2012年】生産数2000カートン　セパージュ：メルロー85％、カベルネ・フラン15％
【2014年】生産数2000カートン　セパージュ：メルロー86％、カベルネ・フラン10％、プティ・ヴェルドー4％
【2015年】生産数2750カートン　セパージュ：メルロー85％、カベルネ・フラン11％、プティ・ヴェルドー4％
【2016年】生産数2600カートン　セパージュ：メルロー82％、カベルネ・フラン11％、プティ・ヴェルドー7％

■畑情報
サン・テミリオン村の入り口付近の畑で土壌は泥質。
畑面積は10.7ha、樹齢は25〜50年。
除草剤は不使用。病害への管理を徹底しながら肥料は極力抑えるなど自然に優しい栽培方法を取り入れています。
果実の品質を高めるために栽培量を抑えるグリーンハーベストは必要に応じて実施しています。
収穫は手摘み。10kg容量のバケツに果実を入れ、優しく運びます。
収穫後はダブルチェックを行い、よりよい果実のみを使用します。
フェノールとヴィンテージにより区画の選定も。

■醸造法
区画ごとに醸造、プレ発酵マセレーションは12℃で2〜6日間。
一定温度でのマセレーションは20〜30日間。
プティ・ヴェルドーに関しては除梗後果粒を破砕しないまま発酵を行うホール・ベリー醸造を採用。
ホール・ベリー醸造は果実味あふれるフルーティなワインに仕上げるために
1990年代にサン・テミリオンが始めた技術です。
適量抽出および定期的な試飲を行い、厳しい目を光らせます。
＜熟成＞
熟成はアリエ産のフレンチオーク樽（225リットル）のみを使用。
新樽率は40％、60％は１年落ちの樽を使用にて12か月熟成、清澄は軽度。
＜ボトリング＞
地下のセラーにて重力のみで瓶詰、ポンプは不使用。
酸素の徹底管理、閉栓速度は緩く、フィルタリングは無し。
保管は地下セラーにて15℃に保ち湿度は90％前後。瓶詰は2016年5月に行いました。
●アルコール度数は14％

飲み頃温度は16〜18℃。
長期熟成可能なワインで目安として2027〜2030年は保管可能です。

ジャンボン・ぺルシェ（豚肉とハムのゼリー寄せ）、根セロリのレムラード（マヨネーズクリーム和え）
牛肉のグリルなど。チーズはブリ―、ミモレット、コンテがおすすめです。

■シャトー・クーヴァン・デ・ジャコバン（Château Couvent des Jacoban）

　

1389年、ドミニカ派のジャコバン兄弟によりサンテミリオンの最も標高の高い丘の上にシャトーが造られました。
当時、この地域のドミニカ派はスペインへ続く巡礼路セントジェームスを造る巡礼者に宿を提供していました。
また、市街の堀の外側にひらけた畑でブドウを育てて造ったワインを
ジャコバン兄弟はイングランドやフランスの他地域の宮廷へ納めていました。

4世紀もの時を経てサンテミリオンを代表するワイナリーとなりましたが
フランス革命前の1780年頃にジャコバン兄弟と他の修道士たちはシャトーを去ります。
シャトーは差し押さえられフランス国有になりました。
その後のシャトーですが1790年に当時の議員である著名な一家、ゴーデ家が３代にわたり所有。
1899年にはサンテミリオンのベル職人であったエミリー・ボーティエの手に渡ります。

ワイナリーとして復活するのは1902年、
サンテミリオンに隣接する小さな村の農業家ジャン・ジアンが買い受け、ワイナリーとして甦りました。
ジャンの娘ベルト・ジアンは1957年から1965年にかけコンクリートのセラーをリニューアル、
サンテミリオンの高地にある石灰土壌にブドウを植樹しました。

1969年、国立シンジケート、国立原産地名称研究所がジャコバンをグラン・クリュ・クラッセに認定。
ファミリーの努力は実り、シャトー・クーヴァン・デ・ジャコバンは
素晴らしいワインを産み出すワイナリーに認められました。

その後はベルト・ジアンの娘ローズ・ノエル・ボルデとその夫アラン・ボルデは
修道士専属のパン職人に声をかけ、修道院を修復。地下にあったセラーを重力式のワイン貯蔵庫に改造。
欧州各地にジャコバンの名をじわじわと広めていきました。

現在はジャン・ジアンの玄孫にあたるザビエル・ジアンが４代目当主をつとめます。
彼は１世紀以上もひたむきに紡がれてきたファミリーの誇りと歴史を、
そして700年近くの歴史をもつこのシャトーを、素晴らしいワインを作ることで守り続けています。
クーヴァン・デ・ジャコバン公式ホームページ